第64章 11人目のストライカー34
コナンside
コナン「夢敗れ逃げた挙句、知史くんの死を利用して他人に怒りをぶつけてるだけじゃねぇか!」
中岡「なに!?」
コナン「勝手に自分の限界を決めつけて、夢を諦めちまった臆病者だ!!」
中岡「このガキ、言わせておけば…」
コナン「ガキはてめぇの方だっつってんだよ!!
全てを他人のせいにし、自分の都合の悪いことは全部嘘だと否定しぶち壊そうとする!とんでもねぇわがまま坊主だ!!」
いつか事務所で蘭が言ってた
“知史くんがサッカーを続けたかったのは、それを教えてくれた誰かのおかげなんだろうね”って
コナン「分かんねぇのかよ!あんたが否定してるのは、知史くんが大好きだったサッカーなんだぞ!?あんた、知史くんの思い出までぶち壊そうとしてんだぞ!それがまだ分かんねぇのかよ!」
もう一度、頭から流れる血を拭う
すると目を見開いて動揺する表情を浮かべた中岡さんが「とも、ふみ…」と零しながら後ずさった
中岡「何故、お前がそのリストバンドを…それは、俺が知史にやった…いや、違う、…そんなはずねぇ…!」
俺の腕にはカズ選手から貰ったリストバンド。
俺の姿を知史くんに重ねたのか分からないけれど、中岡さんは1歩ずつ後ろに退く
中岡「そんな…俺が間違っているとでも言うのか知史…、俺はっ、敵を取ってお前の元へ逝きたかっただけなんだ…!なのにどうして知史…っお前まで俺を否定するんだ…」
コナン「中岡さん…?」
泣き崩れて地面に膝をついた中岡さんはわなわなと震える手をこちらへ伸ばす。
中岡「知史っ!逃げろ…!!」
ぴ、ぴ、…と嫌な電子音。
またもやスタジアムは大きく揺れ、爆発が起こった。
コナン「っ…くそ!!!」
中岡「よせ…!!」
コナン「冗談じゃねぇ…!!」
駆け出した俺はベルトからボールを射出すると靴に手を当てる。
コナン「諦めて、たまるか…!!」
中岡「無理だ、子供の力じゃ…!」
コナン「いっけぇぇ!!」
俺の蹴ったボールは勢いよく飛ぶ
綺麗に曲がり、ゴールポストを目掛けた……けど、爆破によって壊されたライトが上から落ちてきた。
ライトの破片がキラリと飛び散り、地面に転がったボールは空気が抜けていく。
崩れてきた機材や柱は、ゴールの前を塞ぐ