第61章 11人目のストライカー31
コナンside
コナン「これでアリバイ工作は完成したってわけさ。
逆に言えば、この時完璧なアリバイがある人間が犯人。そうでしょ?この時警察に捕まって留置所にいたという、完璧なアリバイがある…元杯戸高校のエースストライカー…“中岡一雅”さん?」
近づいてきた中岡さんは、小さく笑いながら"ガキの癖に大したもんだ"と吐き捨てる
中岡「…名前、なんて言うんだっけ?」
コナン「江戸川コナン。…探偵さ」
中岡「…」
コナン「それで、知史くんとはいつ知り合ったの?」
中岡「……何故、俺と知史が…」
俺は、本浦さんの撮ったビデオに知史くんと合図を交わす中岡さんが映っていたということを話す。
コナン「知り合ったのは多分…高校3年の時だよね?場所は杯戸公園のグラウンド。自主練している時じゃない?」
中岡「お前…どうして…」
コナン「中岡さんが通っていた杯戸高校の寮は杯戸公園の近くだし、実家は群馬だって聞いたから寮生活かなと思ったんだ」
その通りだったのか、中岡さんの肩がぴくりと揺れる。
コナン「中岡さん、練習を見てた知史くんに声をかけたんでしょ?…昔、中岡さんがカズ選手に声をかけられたように」
はっとして驚いた中岡さんは、少しすると目を伏せて口を開く
中岡「ああ、俺と知史が初めて会ったのは高3の春…お前の言う通り、杯戸公園で自主練している時だ。
生まれつき体が弱く、激しい運動はできない知史だったが、少しずつ俺の練習に付き合うようになった」
2人だけの練習はその年の冬まで続いたらしい……つまり、高校選手権を勝ち抜いて国立で決勝ゴールを決めた時も含まれている。
2人で祝杯を上げた時に、リストバンドも渡したと
コナン「でも、2月に中岡さんがバイクで事故を起こして、知史くんとの関係が終わってしまったんだね」
中岡「ああ…手術に続く半年間のリハビリも上手くいかず、俺は逃げるように南米に発った」
そして今年の6月に杯戸公園を訪れた時に、4年生の知史くんがサッカーをやっているのを見つけたらしい。
ベンチで応援することしか出来なかった彼が1度だけ入れた試合。その試合でゴールを決めたら祝杯を上げようと約束し、その約束通りに彼はゴールを決めた……と話す中岡さん。