第29章 ゼロの執行人29
貴方side
降谷「最も…大切で好きな子は、既に居るけどね」
何故か私を見ながら話す零さんに、不思議そうにしてると新一が不機嫌状態
コナン「……ふーん。でも、その好きな子は鈍感過ぎて全く気付いてないみたいだから諦めたら?」ニコ…
降谷「…そう。けどね、そんな事で諦める程軽い気持ちじゃないんだよ?」ニコ…
………何だろ、何か黒い雰囲気が…
★★
零さんはエンジンを吹かし、アクセルを踏む
車の後輪だけが空転し、音を上げる
コナン「行くよ、安室さん」
降谷「1ミリでもいい。ズラせるか?」
コナン「そのつもりさ」
タイマーのカウントが6秒を切る
コナン「5…4…」
コナンがカウントダウンを始める
コナン「3…2…1…」
その声に重ねて、俺も共にカウントを始める。
コ/降「ゼロ!」
2 人の声が重なり、車が急発進する
資材にぶつかりながらも、スピードを上げていく
降谷「ダメだ!高さが足りない!」
コナン「上等だ!」
再び車が資材にぶつかり、ボンネットから火が上がる。
火の粉が入り込み、コナンを守るようにその小さな体を抱く。
スピードが上がり奥のフロアについた。
貴「コナン、気を付けて」
コナン「ああ」
コナンの体を離し、シートベルトを外す
体を屈めて、キック力増強シューズのダイヤルを回した。
車は鉄骨の大きな階段に向かっていく。
シートベルトを左手首に巻きつけたコナン。
その瞬間、車は階段に突っ込み、コンクリートの壁を突き破って外へ飛び出した
私はコナンの左腕を掴みながらも、彼の体を車の外へ出す。
車外に飛び出したコナンはベルトのバックルからサッカーボールを出すと、目視できるまで近くに来ていたカプセル目掛けてボールを蹴り上げた
コナン「いっけえええええ!!!」
炎を纏い、カプセルへ向かっていくボールを視界に捉えながらも、車から脱出し、コナンの腕を引き上げ、抱きすくめる。
でもこのままだと確実に地面に叩きつけられる。
降谷「手を!!」
車から脱した零さんが、こちらに手を伸ばしているのが見えた。