第28章 ゼロの執行人28
貴方side
降谷「しっかり掴まってるんだ!」
零さんは正面を見据えて、ハンドルを強く握りこむ。
貴「零さん…?」
零さんはスピードを緩めなく、メーターはまた180キロだ。
貴「っ…!!」
零さんの表情は覚悟を決めた笑み
降谷(死なせてたまるかっ、お前だけはっ…!!)
ガンッッ
僅かな衝撃と、何かが吹き飛ぶ音が聞こえる
車はモノレールの側面を片輪で走ってる、見たこともない光景に、一瞬意識が飛びそうになるが必死で耐えた。
降谷「ここだ!」
零さんはハンドルを切る。
車は再び宙に浮き、下にあった別のモノレールの線路に着地し、衝撃が走る。
後ろからは、また別のモノレールが迫ってきている。
線路の壁面に車体がぶつかり、時々火花を上げながらも、零さんはコントロールを取り戻し、車はまっすぐ走り出して後ろに迫るモノレールを引き剥がした。
貴「……やっぱり、危なっかしいです…」
降谷「そうか」
コナン(そうかじゃねぇだろーが…)呆
…どうやったらこんな、運転技術が身につくの…警察学校時代に習ったのかな……
公安警察とか、スパイとか、探偵の域を超えているし…
降谷「で、どうする?」
コナン「あ…待って。この建築中のビルに向かって!」
スマホを操作して、上空からのエッジ・オブ・オーシャンの写真があり、爆破された国際会議場の脇に、クレーンのついた建築中のビルがある
降谷「よし!」
零さんはその位置を確認して、力強く頷いた。
★★
エレベーターが止まり、最上階に到着する
真っ暗なビルの中を、車のライトだけが照らしていた。
コナン「前から聞きたかったんだけど、安室さんは彼女いるの?」
降谷「はは、面白いこと言うね、コナンくん」
コナン「…」
彼は一度目を逸らすと、笑みを浮かべた。
そして、右手でハンドルを優しく握り、左手でギアを包むように握った。
降谷「僕の恋人は、この国さ」