第25章 ゼロの執行人25
貴方side
羽場『私も同じだった。だからこそ、こんなことになって、本当にすまないと思う』
2人は強く惹かれあっていた。
だからこそ橘弁護士が、小五郎さんの不起訴に積極的じゃなかったか分かった気がした。
彼女もまた、日下部さんと同じで…公安警察を恨んでいたんだ。
コナン「すべての始まりは、NAZU不正アクセス事件だよね」
橘「ええ。公安から、容疑者を有罪にするよう言われて、調査を進めてたわ。そんな時、その容疑者が出入りするゲーム会社で彼が捕まった。彼がなぜそんなことをしたのか、わからなかった。彼を助けるよう、公安警察に必死に頼んだ。でも彼は自 殺した」
橘弁護士はこちらに背を向け、肩を震わせる。
橘「公安警察を恨んだわ。事務所を畳み、協力者として復讐の機会を狙ってたの」
コナン「そんなときに、小五郎のおじさんを無罪にするように弁護を命じられたんだね」
橘「ええ。なぜ公安警察が彼を無罪にしたいのか分からなかったけど、それなら有罪にしてやろうと思った」
コナン「無関係な人達を巻き込んで!?」
橘「仕方なかったのよ!それがまさか…公安警察の保護で生きていたなんて…。知っていたら、こんなことには…」
貴「ふざけるなよっ!!」
橘「!!」
貴「仕方ない?そんな事で、無罪の小五郎さんはどんな気持ちでしたか!?涙を流した蘭の思いは、考えたんですか!?
例え復讐の為だろうと、貴方がした事は弁護士として最低の正義です」
橘「…」
私が叫ぶと、俯きながら無言になる橘弁護士。
弁護士を引き受けた以上、最後までやり通すのが仕事。どの仕事でも、不正を働くのは許せない
降谷「…橘境子。貴女を公安警察の協力者から解放する。…いいな?風見」
風見「違法な作業は自らカタをつけなきゃならない。それが公安でしたね」
風見さんはメモ用紙を一枚切り取って、橘弁護士に近づいた。
風見「羽場はここにいる。貴女はもう自由だ。彼に会いたいなら、我々は止めな――…」
パンッ
橘「思い上がるな!あんたの協力者になったのも私の判断!あんたを裏切ったのも私の判断!彼を愛したのも私の判断!私の人生全てを、あんたたちが操っていただなんて思わないで!」
叫びきった後、橘弁護士は息を切らし、屋上の出口へ向かっていく。