第14章 ゼロの執行人14
貴方side
貴「…下の名前で呼ぶんですね。自分の事務所で働いてた事務員さんを、“二三一”って」
橘「!……彼の自 殺は、拘置所の中で公安警察に取調べされた後、すぐだったんです」
橘弁護士は、ツラツラ話す
妃「あの…羽場二三一さんは、司法修習生を罷免されてますよね?裁判官を目指してたってこと?」
橘「はい。ですが、司法研修所の修了式のときに、裁判官に採用されなかった彼は、無理矢理壇上に上がって、不採用となった理由を所長に求めたそうです。その行動は、自己満足的な正義感による暴挙と見なされ、裁判官はおろか…」
コナン「弁護士になる道もなくなり、司法人生を絶たれた…」
貴「…なぜ羽場さんを事務員に?」
橘「人にはね、表と裏があるの。君が見ているのは、その一面にすぎない」
橘弁護士が羽場さんを事務員にしたのは、きっと公安からの指示があった
司法修習生を罷免された彼が、自暴自棄になり、暴走をしないように。
小五郎さんが不起訴になったのなら、自分はもう用済みだと、橘弁護士は事務所を出て行く
白鳥「じゃ、私も…捜査が残ってますので」
コナン「犯人のNorを調べるんだね?」
白鳥「うん。NAZUに捜査協力を依頼してあるんだ」
コナン「NAZUって、アメリカの?」
白鳥「そうだよ。NAZUでは昨年、Norを使った不正アクセス事件があってね」
…Norを使った、不正アクセス事件…?
犯人が、その不正アクセス事件に倣って、NAZUに再びNorを使った不正アクセスを行ったとしたら…?
白鳥「NAZUは今日、はくちょうを着水させるミッションに追われていますからね」
…宇宙探査機、はくちょう…今日が帰還日…
サミット会場の点検をしていたのは公安部。
警察庁の公安は、警視庁や検察庁よりも立場や権力が上で公安的配慮が働く。公安警察の、協力者。
風見さんの協力者である橘境子。安室という男は、人殺し。
NAZU不正アクセス事件。警察の捜査資料は、犯罪の詳しい手引書。
爆発現場で見つかった、IOT圧力ポットのガラス片。
貴「……」
まさか犯人は……そして動機も。
だとしたら、最初から狙われていたのは…