第10章 ゼロの執行人10
貴方side
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月日が流れ、5月1日。
本来ならあの場所で東京サミットが行われるはずだった日。
会場は変わる、サミットは予定通り行われるらしい
私はコナン達と共に、東京地方裁判所に来ている
公判前整理手続きを行っている橘弁護士を待っている間、私はコナンと証拠申請された資料について壁に寄りかかりながら話していた
昨日の夜、コナンから証拠申請された資料の写真が送られてきた。
コナン「ひとつ、気になるのがあったんだ」
貴「…ガラス片でしょ?」
黒いガラス片。きっと、昨日の盗撮中、コナンが言っていたどこかで見た気がするというのはこれだ
あれはきっと、犯人しか知らない本当の発火物である圧力ポットの一部。
それを証拠として申請してしまう、そうなると犯人はおのずと見えてくる
そのとき、日下部検事と橘弁護士が廊下の角から現れる
蘭「境子先生!」
私とコナンの横を通り過ぎる日下部検事。
チラリと彼の様子を窺うと、入力音とともにスマホのロックを開
橘「あ、すみません。ちょっと読んでてください。お手洗い行って来ます」
突然そう言って橘弁護士はトイレとは真逆の方へ走っていってしまう
コナン「あ、境子先生!トイレ反対側!境子先生!」
コナンが呼び止めるが、彼女は足を止めずに角を曲がって行ってしまう
諦めた様子だったが、急に険しい目つきになり、メガネを操作しだすコナン
貴「…ちょっと、誰に盗聴器を」
コナン「…風見刑事に仕掛けた盗聴器だ。近い…!」
どうやら、昨日風見さんという零さんの部下らしき人に仕掛けた盗聴器が反応しているらしい
コナンはすぐに走り出し、私もあとを追う。
ポケットに入れていた、いつか使えと言われ貰った博士に貰った眼鏡をかけて、周波数をあの盗聴器に合わせると風見さんの声が聞こえる
コナン「どこだ…!?」
すると、変わった着信音が聞こえる。この音、昨日も聞いた…
貴「……橘弁護士の着メロ…」
コナン「ああ」
橘『あ、すぐ戻ります』
はっきりと橘弁護士の声が聞こえる
すぐに声が聞こえなくなり、私達は一度蘭たちのもとに戻る
蘭「!どこ行ってたの、2人とも」
コナン「ちょっとトイレに」
貴「私も…」