第9章 どうしようもないんだ(D.T)
「彼氏いんの?」
極力、軽く聞いてみたつもりだ。
「しばらく…いません」
「欲しいんだ?」
「それはまあ、人並みに恋愛はしたいです」
「どんな奴と付き合ってきたの?」
「あんまり見る目がないみたいです…浮気されたと思ったら実は私が浮気相手だったり」
「げえ。修羅場?」
「にもならないくらいに完敗で。情けないったらありませんでした」
「そっかあ。こんなにいい子なのにな。」
彼女に嫌な思いをさせた過去の男に憤りを感じながら少し強い口調になる。
すると彼女はぽおっと赤い顔で、目を潤ませて俺を見る。
「わたし、いい子だって、思ってくれるんですか?」
「いい子だよ、すごく。その男殴ってやりてえよ」
「嬉しい…ありがとう、ございます…実はそれ以降、女としての自信がなくて…」
と、鼻をすする。
「なに言ってんの、大丈夫だよ!現に俺、柳ちゃん抱きたいし!」
しまった。勢いでとんでもない事を。
ぽかんとする彼女。赤い顔がさらに赤くなってくる。
「えと…ほんと、ですか…?」
これは…いいんだろうか…