第9章 どうしようもないんだ(D.T)
「馬鹿言っちゃいけねえ。」
と彼女の制止を振り切って支払った。
「私が怒られますっ」
「バレなきゃいいんじゃね?」
「…あっ…」
なるほど、と言いたげな顔をした後、今度はやや恥ずかしそうに
「ごちそうさまです」
と頭を下げた。ほんとにおもしれえ子だ。俺に組み敷かれたらいったいどんな顔をするのか…よからぬ妄想が頭をもたげた。
つまみの入った軽い方の袋を持ってもらい(持ちます!と聞かないので)隣を嬉しそうに跳ねるように歩く彼女。俺の性格上、相手に少しでも嫌いな部分が見えればそれ以上の関係は築こうとしないはずだ。
今からじっくり話を聞いて、少しでも嫌な部分が見えたらもう下心は消え失せるはずだ。しかしそうでなかった時の準備はしておこう。
スタジオの入り口に着いてから「ちょい買い忘れ」と言い彼女を中に入れてからコンビニに戻り、買い足した。それは自分のポケットに忍ばせた。
彼女の元に戻ると、買ってきたつまみを食べやすそうに広げてくれていた。
彼女がチャレンジするのはアルコール3%の乳飲料の味のカクテル。