第9章 どうしようもないんだ(D.T)
「酒、飲まない人?」
「…はい…すみません…周りにもあまりいなくて…」
ほんとに申し訳なさそうにしょぼんとする彼女。
「いいよいいよ、気分転換に行ってくるわ」
「お供しますっ!」
へ?お供?
必死に挽回しようとしてるのか、決意のこもった表情の彼女。くるくると変わる表情がおもしろく、そしてかわいい…
「くくっ。じゃ一緒にいこうか」
「はいっ!」
もっといろんな顔を見てみたい。
歩いて数分のコンビニに行った。
「飲まないの?飲めないの?」
「飲んだ事がないんです」
「へー珍しい。会社で飲みとかねぇの?」
「あっても強要されないし、もし飲んで体質に合わなかったらと思うと…」
「なるほどね」
いつも飲むビール、ハイボール用のウイスキー、炭酸水、軽いつまみをチョイスしていく。
「なるほど、常田さんのお酒覚えておきます」
「次は頼むかもよ」
カクテルが並ぶ棚でアルコール3%の飲み物を見つけた。
「これ飲みやすそうじゃん。ほらグレープとか、⚪︎クルト味とか、⚪︎カビタ味もあるわ」
「へぇー。おもしろい!今度買ってみます」
「今から飲もうや。つきあってよ」
「いやいや!仕事中ですし!」
「俺もだけどな笑。ちょぴっと飲んでみて合わなかったらやめればいーべ」
「…うー…」
「葛藤してる葛藤してる。だいじょぶ、チクったりしねーから」
「…では、人生初のお酒を常田さんに見守られながらいただきます!」
「いや大げさ」
カードで会計をすまそうとすると、
「経費で落とします!」