第9章 どうしようもないんだ(D.T)
決まった相手などいないし都合のいい関係もいない。
自分で処理するばかりだったけど、今日は何故か人恋しい。
思い浮かぶのは、女の尻を眺めながら腰を打ちつける場面。
あぁ〜、末期だな…
確か雑用に使っていいスタッフがいるとか。酒でも買ってきてもらうか。
スタジオから出て人の姿を探した。
「すんませぇん」と声をかけると「ハイッ」と顔を出したのはまるで小動物のような女の子。
小柄な身体にポニーテール。おまけにかなりかわいいときた。
おいおい…
「…こんな夜中の仕事、女の子にやらすの?おたくの会社…」
「あっいえ、いつもならぜったい男性なんですけど、急用が入ったとかで替わったんです。」
わざわざ立ち上がって背筋をピンと伸ばし、もじもじと手遊びしながら話す彼女。
やべえかなりかわいい。目の前にかわいい小動物を置かれて「食べちゃダメよ」と言われている肉食獣の気持ちだ。
「それに、常田さんは夜中に無理な注文しない方だから、いるだけで大丈夫って言われまして…」
確かに。タバコ買ってきてくらいしかスタッフさんに頼んだ事ないかもしれない。今日だってそのはずだ。
「んーと。ちょっと飲みてぇなって思ったんですけど…」
「はいっ!何か買ってきます!」
「じゃぁ…」
と、ビールの銘柄とウイスキーーの名前を伝えるが、彼女の表情は明らかに「???」だった。