第8章 仲直りの仕方(S.I)
幸せいっぱいのすてきなお式だった。最後に新婦とハグをした。
「とってもステキだった!また新婚旅行の話も聞かせてね」
「あみ、早く仲直りしなよ」
「えっ…」
「2人とも式の間中チラチラチラチラ。気になるんだったらそばに行けばいいのに。どうせ彼のヤキモチだろうけど」
「ごめん、こんな日に…」
「いいっていいって。彼には旦那から言ってもらうからさ。とにかく来てくれてありがと。あんたたちも早くしちゃいな!」
ドレスに似つかわしくない彼女のいつも通りの言葉遣いに励まされた。今日は帰ったら謝ろう。仲睦まじい新郎新婦に、私たち2人の姿を重ねた。私も早く彼のお嫁さんになりたい…
1人出口に向かっていると「あの、すいません」と呼び止められた。振り返ると私たちのテーブルにナンパに来た3人の中の1人だった。
「2次会行かれないんですか?」
ちょっと距離が近い…少し離れながら
「はい、ちょっと…」
また距離を詰めてくる。
「あのよかったら、これから2人で…」
腕をつかまれた。嫌、怖い。
「あみ」
颯爽と現れた彼の大きな身体に包まれた。
「すんません。俺の連れなんで」
残されたその人がどんな顔をしているのか、見る間もなく彼に手を引かれて離れて行く。