第8章 仲直りの仕方(S.I)
受付を済ませると見知った面々に挨拶をしていく。彼は男友達、私は女友達と自然に話を始め離れていく。
誰も私たちが2週間も話していないなんて思ってないだろう。席次表を見ると、彼は新郎側の友人席。私は新婦側の友人席。よかった…訳ではないけど、披露宴の最中に息苦しい思いはしなくてもよさそうだった。
席に着き、彼の姿を探すと、ちょうど横顔をながめられる場所だった。しばらくぼぅっと見ていると、隣の席の友人と笑って話している。彼の笑顔を見るのも2週間ぶり。今日がなかったらその笑顔忘れてしまってたかもしれないよ。
披露宴が始まり、友人の晴れ姿に感動し泣きながらおめでとうと声をかけた。ケーキ入刀やお色直しと、和やかに式は進んでゆく。豪華な食事といろいろ取り揃えられたお酒を楽しんでいると
「こんにちはー!失礼しまーす!」
と3人の男性がテーブルにやってきた。
「僕ら新郎の会社の同僚なんですけど、すごくキレイな方ばかりなのでお近づきになりたくて来ました!」
なんてどストレート。爽やかなナンパはけっこう好印象なんだね、と隣の友人と笑い合った。
「皆さん2次会は行かれますか?」
行きます!と言う友人たち。「あみはどうする?」と聞かれてつい彼を見た。
目が合った。
すぐにそらされてしまったけど、こちらの様子を伺ってたんだろうか。彼が2次会に行っても行かなくても、心から楽しめないのは確実だった。友人には「行かない」と伝えた。