第8章 仲直りの仕方(S.I)
セミロングの髪を綺麗に結い上げてもらい、プロのメイクもしてもらって急いで帰宅した。
タクシーが来る10分前。…起きていますように、と祈りながら部屋に入ると、彼の整髪料のにおい。よかった、準備してる。
彼の姿を探すと、寝室の姿見の前でネクタイを締めているところだった。
背が高い彼がドレスアップするとこんなに変わるものなのか?スタイルも悪くないので、悔しいけどかっこいい。
そんな気持ちを悟られないように慌ただしく動きながら、
「できた?もうタクシー来るよ」
私の言葉に返事をせず、靴を履き始めた。
息が詰まって、鼻の奥が痛い。幸せな日なのに泣きそうになる。
友人たちの事は心の底からお祝いしたい。必死に泣くのを堪えながら彼の後をついて出た。