第7章 娘の担任(K.A)
時は過ぎ、今日はさくらの卒業式。久しぶりに着物を着てみた。身も心も引き締まる。少し背が伸びたさくらと小学校に向かって歩いて行く。
「ねえ、お母さん」
「なあに?」
「私の事は気にしないで。」
「…さくら」
「先生、今日絶対キメにくるって。ちゃんと返事してあげなよ?もう担任と保護者じゃなくなるんだからさ。まったく、好き合ってるのにじれったかった〜!」
彼に気持ちを打ち明けられてから何かが変わった訳ではない。
ただ、彼がお店に来た時の雰囲気がとても甘酸っぱくなったそうだ。
そんな変化を感じ取る娘の感覚に驚いた。
卒業式は厳かに行われ、娘の成長に目頭が熱くなった。
元夫とはあれから話し合い、あの件の事を謝られた。再婚相手とうまくいっていなかったようで、結婚していた頃には言えなかった元夫の欠点を指摘し、反省を促した。
結果、徐々によくなっているようでたまに相談をうけるようになった。さくらとも会う回数が増えた。私たちはこのくらいの友人の間柄が1番よかったのだろう。でも元夫がいたことで大事な娘を授かったのだから、今となっては感謝している。
そんな事に思いを馳せていた。そして卒業生の名前を読み上げる彼にもときめいていた。
彼との未来を想像しない事はない。でももっと若くてかわいい人がお似合いだと思う。彼のご両親だって、バツイチ子連れよりもそちらがいいに決まってる。私が親ならきっとそう。
式の後、教室で最後のホームルーム。