第7章 娘の担任(K.A)
急に夫の身体が離れた。店に続く廊下には、ひっくり返った夫と、夫を組み敷く先生。彼は聞いたことのない低く冷たい声で
「これは同意の上ですか?」
組み敷かれた夫は暴れながら
「あ、当たり前だろ!夫婦なんだから!なんだよ!離せよ!」
先生は服の乱れた私を見ないようにしながら話しかけて来た。
「あみさん、本当ですか?同意ですか?」
身体が震えて、はだけた身体を隠しながら首を横に振る。
「警察を呼びます」
暴れる夫を身体全体で押さえつけながら器用にスマホを操作する。
「せん、せ、あの、も、警察までは」
震えてうまく話せない。でも騒ぎを大きくしたくなかった。
「元夫なので、また、きちんと話し合いますので」
からからの喉からなんとか絞り出した。
スマホの操作をやめた先生は夫を睨みつけた。
「あんた何やってんだ?泣かせに来たのか?よく考えろ」
そう言いながら夫を解放した。
夫は慌てて立ち上がると、
「なんだこいつは!お前の何だ?!」
「さくらの先生なの、今日は帰って。もう急に来たりしないで。」
先生に睨まれながら、夫は黙って出て行った。