第7章 娘の担任(K.A)
娘の学校での様子や家庭での事を報告し合い、少し算数が苦手な話をした。
「あの、立ち入った事をお聞きしますが、さくらさんのお父さんは…?」
「いろいろありまして、離婚したんです。寂しい思いはさせないようにしてきたつもりですけど…娘が会いたいと言えば主人と会えるんですけど、最近は向こうと予定が合わなくてあまり会っていないんです」
「そうですか、それは寂しいですね…学校でも気をつけて様子をみておきます。」
「はい。ありがとうございます」
「コーヒーとてもおいしいです…オリジナルですか?」
「はい、これでも少し勉強したんですよ」
「すごく好きな味です。また飲みにきてもいいですか?」
「…はい、是非。他の先生や親御さんたちもよく来てくださるんですよ」
少し、危険な感じがして牽制してしまった。そんな事ないだろうけど。
話も終わり、彼が席を立った。
「ごちそうさまでした。では、1年間よろしくお願いいたします」
「こちらこそお世話になります」
「あの、お母さん」
「はい?」
彼に真っ直ぐ見つめられる。
「幸せですか?」
あぁ、あの時の彼だ、少年の頃の姿が重なる。
「はい。幸せです」