• テキストサイズ

彼らとの夜 King Gnu R18

第7章 娘の担任(K.A)


「きゃっ」「うわっ」

とっさに出た手は相手の胸に。

「ごめんなさいっ!」と顔をあげると…


「やっぱり、あみ先生」

すっかり大人の男性に成長した彼だった。

背も伸びて、端正な顔立ち。顎に生えたきれいな形の髭がいやにセクシーに見える。

彼の胸に触れたままの手を優しく包んでくれた。

はっ、と我に返り手を急いで引っ込めた。

「あっ、あの、さくらの母です!お世話になっております!」

真っ赤になって頭を下げる私に優しく微笑みながら

「今年度、担任をつとめさせていただきます。よろしくお願いいたします」と返してくれた。昔から落ち着いた子だったけど、すっかり精神年齢を追い越されてしまったように感じた。

カウンターに座ってもらい、
「お茶菓子は用意しないようにってなってますけど、うちが最後なんでしょ?コーヒー召し上がりませんか?」と聞いてみた。

「じゃ、内緒で…一杯、お願いします。」

コーヒーを淹れている間、沈黙が流れる。いろいろと、お互い聞きたい事があるはずなのに切り出せない。

ようやく彼から話し出してくれた。

「さくらさんの苗字が目に止まって、保護者の名前を見たら…まさかとは思ったんですけど…」

「私もです。クラス便りのお名前を見て、まさかって」

お互い笑い合った。

「あみ先生、少しも変わってないです。あの頃のままです」

「ええっ、そんなわけないですよ、もう、いくつだと思ってるんですか…それに先生はそちらでしょ?」

「あぁ、そうですよね、ハハハ、じゃあなんて呼んだらいいのかな…」

「他の保護者さんと同じように呼んでください」

「そっ、か。さくらさんのお母さん…ですね」

その時の私は、彼の少し悲しそうな表情に気づかないふりをした。
/ 113ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp