第3章 奇抜な彼(Y.S)
念のため予算を聞き、多めの予算に記念日か何かと聞いてみた。
「結婚記念日…なんすけど、」
と言葉を濁した。
「レコーディングが長引いて日付け変わっちゃって」
レコーディング、という事は
「お客様も…プロの方なんですか?」
少々はにかみながら「はい」と言った。
「あぁ、でも、お姉さん俺のこと知らないんなら…まだまだっすね。もっと、がんばります。」
「すみません、音楽はほんとに疎くて、後で調べてみたいのでお名前伺えたら」
すると彼はバンド名を教えてくれた。
「後で必ず調べます…!」
へへへ、と笑った彼は、本当に少年のようだった。