第3章 奇抜な彼(Y.S)
ある日の閉店間際、裏で片付けをしていたら店の扉が開いた音がした。
「いらっしゃいませ…」
店に出ると、金髪にアロハシャツの、奇抜なお客様がいらした。
小柄だけど…チンピラさん?かな…?あぁ、揉め事だったらどうしよう。初めてのお客様に少々身構えてしまった。
彼は所在なさげに花を見回しながら、
「花…ほしいんすけど…」
と小さな声で言った。よかった。お客様みたいだ。
「はい、贈り物ですか?」
と聞くと、彼は初めて私の目を見てくれた。年がわからない、少年のような感じもする…不思議な男性だと思った。
「はい、あの、奥さんに、あ、俺の。」
少し驚いてしまった。まさかの既婚者だった。
「そうですか、奥様に。」
頭の中は彼の奥様を勝手に想像しはじめ、花束のイメージを膨らませる。
若い、派手な女性をイメージしてしまう。だめだめ、ちゃんと聞いてみないと。
「失礼ですが、どんな奥様がお聞かせいただけますか?」
彼は少し下を向いて、「えっと」と話し出した。