第3章 奇抜な彼(Y.S)
繁華街の生花店は深夜まで営業している。夜のお店のお得意様が多いから。
小さなお店だけど、初代である祖父の代からの付き合いのお店や、先代の父が開拓したお客様たちに支えられている。
大きな花屋さんに流れていくお得意様も少なくないけど、古いお客様が言っていた「祖父と父譲りのセンス」とやらが私にもあるそうで…数年前、体調を崩した父に代わりこの店を継いだ。
一人娘だったので漠然と後を継ぐつもりはあって、専門学校で学び、資格も取った。
お得意様も子どもの頃から顔馴染みだったり同級生だったりご近所だったり。
賑やかな繁華街で穏やかに暮らしている。