第11章 俺のだから(D.T)
理に向けていた表情が気になり、あみの肩を抱いたまま顔を覗き込みながら聞いた。
「何、言われた…?」
両手で顔を隠したままで、なかなか答えない。そんなに酷いことを言われたのか、心配になり、理への怒りが沸きあがりかけた。
「あいつ…何を…」
すると慌てて首を横に振り、手がのけられ少し涙目のかわいい顔が見られた。
「違うんですっ、あの…か、彼氏がいるのか聞かれて……常田さんと、付き合って、るのかな、って、…わからなくて…好きな人が、いますって…」
そこまで言うと涙目の瞳から涙が湧き上がってきた。
「そしたら井口さんが、片想いかぁ!って仰られて…なんか、現実を突きつけられたような気になってしまって…勝手に…ちょっと、絶望を感じたというか…ごめんなさい、なんか…」
俺の目を見ないまま、涙がこぼれ落ちる。こんな顔をさせたのは理ではなく俺だ。自分が情けなくなった。
人目をはばからずあみを抱きしめ、頭から甘い甘い匂いを吸い込んだ。
心から愛しく感じた。
「ごめん。俺が悪い。」
俺の腕の中で微かに首を横に動かしている。
「後はなんとかするから。仕事続けて。あと、夜時間ほしい。いい?」
今度は小さくこくこくと頷いた。
振り返ると、遠巻きに俺たちを観察しているクルーたちに向けて声を張り上げた。
「騒がせてすんませんでした。お仕事続けてください。後からちゃんと説明するんで、彼女には何も聞かないでやってください。」
驚いている彼女の頭にぽん、と手を乗せ、大股で楽屋へ向かった。
途中マネージャーを捕まえ、いろいろ聞きたそうだったが俺から一方的に説明をし、
「そんなわけで例のその子の立場悪くならないように上にもちょっと言っといて。俺からも言うし」
と伝えた。楽屋へ行くとやや不貞腐れた理と少しニヤついた2人。