第10章 新婚旅行(K.A)
「さくらちゃんと絆を深めたい」と申し出たので2泊3日、娘は俺の実家。
「パパ、お母さん。弟か妹、期待してるからね」
との言葉に見送られ、隣県の宿へと車で出発した。
「あの子ったら、もう…」
と顔を赤らめる彼女。そんな彼女の右手を運転しながら握る。
「期待に応えたいな。俺は」
恥ずかしそうに微笑む彼女。やばい。少し勃ってきてしまった…。
そのお宿は木々に囲まれた小道を進んだ先にあった。文明の音は何もしない、自然の音しか聞こえない。こんな所は初めてだった。
「…俺、人生経験少ないからさ、こんなとこまだ来ていいレベルじゃないと思う…」
「ふふふ、私だってないよ。いいんじゃない?レベルアップしようよ」
ああ、やっぱり俺より何枚も上手だ。俺は君に見合っているのだろうか。置いていかれたくなくて、先を歩く彼女の手を掴んだ。
振り返った彼女は最高の笑顔で手を握り返してくれた。やっと手に入れたこの笑顔、絶対に離さない。