第2章 先生
何コール目か分からない。
私は急いでボタンを押した。
『っはい……!』
「《いつまで待たせるのよ、》」
電話越しでも分かる。野薔薇ちんの声は少し怒っていた。怒っているより、心配している気持ちの方が大きそうな声。
『ご、ごめんねっ、忘れ物がどっかいっちゃって……』
「《どっかいっちゃったって…あんたね…》」
五条先生とこんなことしてるの、誰にも言っていない。だから咄嗟についた嘘に野薔薇ちんは少し呆れてる。
『今日、行けないかも…ごめん…』
「《まあいいわよ、またアレ使ったんでしょ。やっぱ休んでた方がいいわよ》」
野薔薇ちんの言葉に、じーーん……と私は感動した。
『ごめんね…ありがとう……』
ああ、私は良い友達をもったかもしれない。
嬉しさで少し涙目になる。
そう思いながら終了ボタンを押す。
「良かったの?」
電話が終わった後に五条先生が口にした。
『だって…どうせ先生ダメって言うだろうし…』
「まあ……そうだけど。の可愛い声聞きたいし」
『は、はあ?!』
五条先生の言葉に私は驚きで大きな声が出た。