第3章 白昼夢
の言葉に、伊地知は息を飲んだ。
夜になると血塗れの女の姿を見掛ける、子供の声が聞こえる、ラップ音がするなど、と調べれば出てきたり、近隣住民から聞いたりした。
「そ、そうですね…幽霊はいませんよ。きっと言われているのは、呪霊ですから……」
『言われている……?』
何を言われているんだろう、とは心の中で疑う。
『(まあ、いいか。早く終わらせよう。なんか空気が重たいし……)』
嫌な予感がする、と思いながらは深呼吸をして学校の中へと入って行った。
カラスの鳴き声がより聞こえていて、空もどんよりとして来た。
『(……帰ったら野薔薇ちんに褒めてもらおう)』
ゆっくりゆっくり身構えながら、木造校舎の中を歩く。
校舎の中はホコリ臭い。歩く度にギシギシと軋み音が響く。
『絶対1人とか危ないじゃん。迷子とか神隠しになったらどうするの……』
長い廊下は薄暗くて、不安が募る。