第2章 先生
あれから私は気を失うくらいヘトヘトになるまで五条先生とした。
と思う。
夢だったと願いたい。
毎回、朝目覚めた時には五条先生の姿はないし、ちゃんと布団で寝て服だって着ている。
私の妄想だったかのように、
そこら辺の記憶は曖昧でほとんど覚えてない。けど、五条先生と触れられた感触は残っている。
多分覚えていたくないんだろう。
教師と生徒。しかも未成年と成人。
だからそんな関係になったらダメに決まっている。
……きっと私の思い込みだと信じたい。
でも一つ確信して言えることは、
【学校に行きたくない】
ってこと。
そう思ったのはいつぶりだろうか。
高専に来てから毎日が充実していて、先輩とも同級生ともいい感じに仲良くなれた。
だから学校に行きたくない、っていうのは少し語弊があるかもしれない。
前にいた高校よりも楽しいから。
あ、いや、でも学校に行きたくないって思うの割と最近かもしれない。
多分五条先生とあんなことがあってから、そう思うようになってきたんだ。
五条先生と会いたくないだけ。
五条先生は教師だから嫌でも会う。
って。さっきからずっと五条先生の事頭で考えている。五条先生のことが頭いっぱいだ。
『(嫌だな…)』
そんなことを考えながら先輩たちと恵くんの体術練習を木陰でぼー……と見ていた。
『はあ……』
「さっきからため息ばっかり。なんかあったのか?」
野薔薇ちんにそう声をかけられたけど、何も答えれなかった。
それから10分くらいすると
『…あ、どうしたの、恵くん』
休憩になったのか、恵くんが木陰に来て清涼飲料水を口につけながらじー、と私のことを見ていたから声をかけた。
「五条先生と何かあったのか」
『……っえ。な、何もないよ…』
恵くんの言葉に私はギクッとした。
五条先生との事、野薔薇ちんには気づかれていないのに、恵くんが気づいた事に少し驚いた。