第2章 先生
「先に言っておくが、五条先生はやめておけ」
ペットボトルのキャップを締めながら彼は言った。
『……え?』
な、なんの話……?
私は恵くんの言葉に驚く。
「はあ?何言ってんのよ。伏黒」
『そ、そうだよ…っ』
野薔薇ちんの言葉に相槌して言う。
やめておけ、とか言われないでも分かってる。
そんな言葉、恵くんに言われたくない。
「いや、だってお前──」
『あっ、ありえないし!普通に考えて!!だって先生だよ?!』
恵くんが何か言う前に私は言葉を遮った。
あれ。なんでこんなに熱く言ってるんだろう。
あ、そうだ。前に気になっていた恵くんにこんなこと言われたからだ。きっと。
うん。だから悲しくてこんなに言ってるんだ。
「それは、そうだけど…」
「にはちゃんと男いんのよ?ねえ、」
『うんうん……』
多分、野薔薇ちんが言ってる"男"はきっと私のお兄ちゃんのことだ。
『……』
冷静になって恵くんが言っていたことを考えると、ものすごくモヤモヤする。