第2章 ふわりととけた
会話を続けさせてくれるわけもなく
その生き物は大釜が当たった頭をふるふるとふりながら起き上がり
痛みと怒りがこもった瞳がこちらを覗いてくる
「ユウはこいつがなんなのか知っているのか?」
「この子は「ガアアアア!!!」
その生き物は私の言葉を遮り咆哮を上げる
その勢いだけで吹き飛んでしまいそうなほどの突風、凄まじい威力だ
先程までは距離があったから感じられなかった驚異
あまりの勢いに私は尻もちをついてしまった
デュースが私の前に立って突風から守っていてくれている
「なん…だ、この勢いは…」
ガアアアア!!!
「ッッッッ!!!」
バキッズサアアッッッッ
右腕で顔をかばっていたため前が見えなかったのだろう
デュースはその生き物の攻撃を直にくらって吹き飛ばされた
「デュース!!!!!」
わたしは急いで駆け寄ろうとするがとっさのことと恐怖でうまく走れない
早く、早く!行かないと!すごい音だった、、勢いもすごかった、大丈夫か、生きてるか、私のせいだ、私が残るなんて言ったから
やっとの思いでデュースのもとへたどり着くと右腕と脇腹から血がドクドクと出ていた
「血が!手当しないと!魔法!」
脇腹の血がドクドクと止まらない