第2章 ふわりととけた
「ごめんねデュース」
「なにがだ?ユウ」
目の前の生き物はエースを追うことなく私を一心に見つめている
よく知ってる目だ、ただ今はとても悲しみに染まっているように見える
私とこの生き物の2人の問題にデュースを巻き込んでしまった
「ガアアアアア!!」
「まずい!」
十分距離をとったその生物がまたこちらに走ってきた
ダダダダという走る音と共に盛大に土埃が舞っている
ズササササッッッッ
今度は感情に支配されずに自分で避けることができた
だがデュースは反対側に避けたようで離れ離れになってしまった
「デュース!大丈夫!?」
「僕は大丈夫だ!ユウは大丈夫か!?」
その生物の後ろの方からデュースの声がする
「私も大丈夫だよ!」
「監督生は先生たちを呼んできてくれ!」
「何言ってんの!?デュースを置いて行けない!」
「僕は大丈夫だ!いでよ!大釜!!」
空中からデュースの得意魔法の大釜が飛び出してきた
ガアアアアン!!!
大きな音と共にその生き物に大釜が当たる
「デュース!!」
生き物が当たった瞬間に私はデュースのもとに駆け出した
「なにしてんだユウ行けって言っただろう」
「無事で良かった…」
「僕の話を聞いてるのか?」
マジカルペンを片手に持ちながら焦った表情でこちらを見てくる
エースほどではないがデュースも恐怖で顔を引つらせている
やはり怖いのだろう、生まれて初めて見たこの生き物のことが
彼もエースと同じで高校1年生なのだから当たり前だ