第2章 ふわりととけた
「「あぶない!!!」」
その生物の攻撃が当たる直前
急にやってきた緩い衝撃と浮遊感、そして地面に背中から落ちた痛みに襲われた
「あいたた…」
打ち付けた腰と背中をさすりながら目を開けると
「何してんだよ!!」
「危なかったなユウ」
そこには私のマブのエースとデュースがいた
二人とも私をかばって倒れ込んでくれたから体中砂埃だらけになっている
「二人ともありがとう、でもどうして·····」
月夜が照らす真夜中10時半、普段なら皆お風呂に入って寛いでる時間だろう
だがエースとデュースは未だ寮服のまま、しかもハーツラビュル寮ではなく校舎にいる
「明日休みだからユウとカードゲームでもしようかってデュースと話してオンボロ寮に向かってる途中だったんだよ」
「ちがっ!僕は!ユウと課題を一緒にやろうかと思って!!ってそんなことはどうでもいいこいつはなんだ」
エースはいつもの調子で腰に手を当て飄々と話すがそれをデュースが止める。それもそうだ、たった今死にかけていた私を命懸けで助けたばかりだ
一撃も喰らわせずただ避けただけの相手はもちろん無傷だろう
振り返りその生物を見るともう一撃繰り出すために距離を取り始めていた
「これは…」
「いやいーよ説明は、まじやべーやつじゃん
とにかく逃げねーと!!!」
その生物をまじまじと見て、恐怖に顔が引きつってしまったエースが手を伸ばしてくる
その間にもその生き物はじりじりと距離を取りながらも一切こちらから視線を逸らすことは無い
それでも私はその手を取ることは出来なかった。