第43章 3度目のバレンタインデーは…前編 お相手:煉獄杏寿郎現パロ
「どうせ飾りじゃないの?」
「いや、動くらしいが?」
「何しに行くの?」
ディスプレイを見ていた顔を上げると
杏寿郎と目が合ってしまって
「しに…、行くんだろう?
それとも、そこも突き詰めてみるか?」
しに行くのを 突き詰める??
「突き詰めるって?何を…?」
ニヤッと不敵な笑みを彼が浮かべて来て
「そんな事を君の方から言い出したんだ、
当然…サービスして貰えるんだろう?」
おいでとこちらに彼が腕を伸ばして来たので
みくりが杏寿郎の腕の中に納まって
杏寿郎の足の上に座ると
そのまま ギュッと抱きしめられる
項の辺りに杏寿郎の唇が当たって
ちょっとくすぐったい感じがする
それに項の辺りの匂い…嗅がれてる気がする
「こうしてると、落ち着く…な」
時折 不安になる事がある
どうして俺は あの時
彼女の側に居てやれなかったのかと
どうして俺は… みくりを
残してしまったのだろうかと…
「杏寿郎?大丈夫?
顔色、悪いけど…、
今日は早めに…やすんだ方がッ」
「大丈夫だ、心配ない…体調が
悪い訳じゃないんだ。こうしててもいいか?」
たまに杏寿郎こんな感じの時あるけど
こう言う感じの時の杏寿郎は
どうにも余裕がない感じで不安そうで
こうして今みたいに
強く抱きしめて来るけど
正直 力が強くて痛いし息ぐるしいんだけど
すっとみくりが杏寿郎の頭に
自分の身体をひねって手の伸ばすと
よしよしと杏寿郎の頭を 泣いている
子供を落ち着ける様にして撫でる
「大丈夫だよ。杏寿郎。
杏寿郎は杏寿郎だし、
私はここに杏寿郎と居るから」
この時々 訪れる
どうしようもない不安感の原因は
私にも杏寿郎にも分からないけど
「温かいお茶でも淹れようか?」
「いや、いい。このまま
ここに居てくれれば。それでいい」
そのまま しばらく
彼に抱きしめられたままで過ごしていると
お湯張りが出来たと給湯器から聞こえて来て
スルッとその腕の力が緩んだのを感じた
「どこにするか、選ぶんだったな。
みくり、今日は風呂はどうする?
一緒に入るか?俺と一緒に入ったら
また昨日、みたくなるかも知れんがな!」
さっきまでの不安そうな感じは
もう今の彼にはなくて
いつも通りに冗談めいた事を言っていて
安心した