第43章 3度目のバレンタインデーは…前編 お相手:煉獄杏寿郎現パロ
私の視線を感じたのか
杏寿郎がボディソープの泡を
手に取りながら視線をこちらに向けて来て
「どうかしたか?みくり。
そんなに、見つめられると…困るが。
俺の、身体にでも見惚れてたか?」
元々彼は身体を動かすのが好きだし
ジムに通ったりしてる位だから
均整の取れた筋肉質な身体をしてるけども
「だが…、俺の身体の隅々まで
見たと言う事は、俺に…隅々まで
見られる…と言う事になるが、いいのか?」
そう言って 彼がニヤニヤと
不敵な笑みを浮かべながら言って来たので
杏寿郎が身体をこちらに向けて来て
丁度みぞおちの辺りにある
薄い痣が目に入った
その痣を見ると 自分の胸がざわざわと
ざわめくのを感じる…
胸が締め付けられて息が出来なくなる
自分でもどうしてなのか…
わからないけど
気が付いたら 彼の身体に
縋り付くように抱き着いていて
「あー、みくり。
前に、俺が君にアグレッシブに
なってもらいたいと言ったのを…、
気にして居た…とかでは…無さそうだな」
今 そうされたら洗ってる途中だから
君に泡が付いてしまうと
その言葉を杏寿郎が飲み込んで
ギュッとみくりがその手で
その痣から何かが零れ落ちない様に
栓をする様に 蓋をする様にして
手で強く押さえていたので
杏寿郎が自分の手を
みくりの手の上に重ねた
「この痣が…、気になるか?みくり」
「自分でも、何故か…分からないのにッ
この、痣を見てると…、落ち着かなくて」
「何故…、泣くんだ?」
杏寿郎の指先がみくりの目から
零れ落ちた涙を拭う
ふるふるとみくりが首を左右に振ると
「何故だか…、分かりません」
「それに、話し方もだ。
何故、いつもと違う話口調になるんだ?」
更に問いかけられて ふるふると
みくりが首を左右に振った
「杏寿郎さん…、でも、分からないんです」
こうなる時は みくりは
決まって分からないと言うし
何とも言えない表情をする
そして 決まって 俺を杏寿郎さんと呼ぶ…
ギュッと杏寿郎がみくりの身体を
包み込む様に抱きしめると
「安心するといい、俺は俺だし。
君は、君だ。それに、俺はここに居る」
今の俺は ここに居る
ここに在るんだと
そう強く思うのは何故なのだろうか