第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
その頃
杏寿郎と小野寺は
用意されていた晩餐会の席に居た
ちらっと
小野寺が空いている席を見る
用意されている椅子は2つ
空いたままになっていて
みくりと冨岡さんはまだ
王宮には戻って居ない様だった
小野寺が晩餐会のテーブルの
上座を見ると そこには
この国のスルタンである
煉獄 槇寿郎の姿があって
テーブルに着くべき人間が
揃っていないにも関わらずに
ゴクゴクと喉を鳴らして
ブドウ酒を飲み干している
「杏寿郎…、アイツはどうした?
まだ、戻らんのか?」
顔は……杏寿郎さんにそっくりだけど
この国のスルタン…と呼ばれるだけあって
威厳が…凄い…な
放っているオーラが…
わざわざに金色の目を通して見なくとも
反対の目にも見せそうな位の
そんな 重圧の様な存在感を感じる
「時に、杏寿郎」
「はい、何でありましょうか?」
「俺は、金色の瞳の娘を連れ帰れと
そうお前に命じなかったか?
それは、何だ?」
ギロッと睨みつける様な
鋭い視線を槇寿郎が
小野寺に対して向けて来て
「ですから。父上が
ご所望になられた、この国を
更なる繁栄と栄華に導く
星に選ばれし娘にありますが?」
「俺は、二つ星を連れて来いと
言った憶えは無いぞ?出来損ないの星では
この国のお前に譲る訳には行かん」
杏寿郎が自分のグラスに
注がれている ブドウ酒を回して
そこから香り立つ
ブドウ酒の香りに鼻を近付けた
一瞬にして 金色の目に映像が映る
「ああ、そちらの、ブドウ酒は
南の海の向こう側から、海を
渡って来た物なのですね。
ああ、驚きです。海は知りませんが。
海の向こう側にも、羊を沢山
飼っている地域があるのですね。
服装も、私達の草原の国の民と
似た様な服装をしているのですね…」
ふぅっと槇寿郎が小野寺の言葉に
つまらないとでも言いたげに
ため息を付くと
自分のグラスの中身を干した
「ふん、下らん。千里眼か…
半分でも、足りるとでも言いたいのか?」
いいえと小野寺が首を横に振った
「いいえ。私だけでは
不完全で出来損ないの星にあります。
スルタン様。私とみくりは
双子ですので、ふたりでひとつ。
私だけで成し得ない事も、みくりとなら」
「成し得えうる…と?」