第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
そう言って一軒の小さな店に前で
杏寿郎が馬を降りて繋いだので
小野寺も馬から降りて
杏寿郎の馬の隣に自分の馬を繋いだ
人が3人も入れば身動きが
取れなくなりそうな小さな店内には
この店の規模には不釣り合いな程に
上等のガーネットが陳列されていて
きっとこのガーネットの一つで
一財産と言ってもいい位の
価値がある物だと
小野寺の目には映った
「…いらっしゃい。
どんな物をお探しで?」
白髪頭の老人の店主が
そう杏寿郎に声を掛けて来て
「どれも、上等なガーネットだが。
表に出てるやつじゃなくて、裏ので。
夕陽の様な、オレンジの濃い物が
欲しいんだが?」
「ふむ……。裏のかい。
物好きな兄さんな。うちの裏を
ご指定とはねぇ。オレンジ…ね。
ああ、えっと、確かこの辺りに……」
老人の店主が
自分の背後にある
小さな引き出しが並ぶ棚と言うよりは
壁にびっしりとある引き出しから
「ああ、これだ…こっちか…、
ああ、こっちだったな。これでどうだい?」
引き出しを4つほど引き出して
記憶していた物と繋がったらしく
その引き出しの中から
包帯の様な布に巻かれた
石を コトンと2人の前に置いた
ガーネットは硬度の高い石だし
紫外線にも強いから
色調が紫外線で変化する心配もない
そのガーネットをこんな風に保存するなんて
「主人。物を確かめても?」
「後、オレンジは多少
薄い、濃いはあるが、
こっちとこっちもそうだ」
そう言って別の引き出しから
同じ様に布に包まれている石を
コトン コトンと更に二つ
テーブルの上に置いて
シュルっと杏寿郎が
そのガーネットを包んでいる布を解くと
中からは
鮮やかな深いアンバーの色の
ガーネットが姿を現して
「これは、見事だな。
まるで琥珀の様だ…な」
「琥珀もある」
店の主人がそう静かに言って来て
「凄い。こんな飴色の様な
ガーネットもあるのですね」
シュルシュルと主人が
後の二つの布も解いて
その中からガーネットを取り出す
オレンジと一言で言っても
赤に近いオレンジから
琥珀色の物…
イエローに近い色調と
一言でオレンジと言えども
色味の異なる 3つを並べて見せて来た
その時に…金の目の裏に
一瞬に映像が浮かんで来て
「あの…、
7の数字の引き出しの中身を…」