第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
街道に入って
自分が見えている
目に映る範囲には
ずーーーーーっと 途切れる事がなく
その黄色い煉瓦の道が続いていて
その果てが見えない
「凄い…、この道は…
一体どこまで、
続いているのですか?冨岡様」
スルッと頭に被っていた
ローブを砂漠を抜けたからか
義勇が脱いで
みくりの肩にかけ居た
そのローブと繋がっていた
ケープになった部分も
肩から落として来て
表面に着いた砂埃を軽く叩いて落とす
「この道は、王都へと続いていて
その先は、ずっと南まで繋がっている」
「南?王都より南には…何か
あるのですか?」
「草原の国には無い物がある」
そう義勇が言って目を細めた
草原の大地には無い物
それって まさか
「海っ!海があるのですかっ?」
「ああ。海がある。
その海から色んな物を交易してる。
南や西の産地で作る、ブドウ酒や
それこそ、草原の大地の刺繍や
上質な羊毛、加工した乳製品。
金も…もちろんそうだが…。
一番の交易品は…、太陽の石だな」
「ガーネット…、この国の全土で
産出される宝石ですね。
ひとつの国の中で、様々な色の
ガーネットが採掘出来るのだと
昔父から聞いた事があります」
「特に、この国では全土で
深紅のガーネットが獲れるが。
草原の国では、その大地を表すような
緑のガーネットが多く獲れる」
スルッとみくりが
自分の首にから革紐を持って引くと
その革紐の先には加工された
緑色のガーネットが輝きを放っていた
「この、ガーネットは、
私と小野寺が生まれた夜に
偶然に父が拾った物です。
二つ星の落ちた先にあったと。
私達が双子なのを知っていた父が
お守りにと、私達にくれた物なので」
フッと義勇が口の端を曲げると
「星の落とし物…、だと言われている」
「星の落とし物?」
「王宮には、二つ星に関する
書物の蔵書もあるからな…、その
金色に瞳についても何か、
お前達が知るべき事が分かるかもな。
二つ星の夜の生まれる、金色の瞳の娘。
その二つ星についても色々な説がある」
じっと義勇がみくりの
金色の瞳を見つめて来る
「二つ星は左右の双眸を表すと唱える
学者がいるのも確かだ。
二つ星は、一つが二つに分かれるが
その地平線に消える寸前にまた
一つ戻るのだと。だが、まれに…」