第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
そんなこんなしている内に
その大行列が家へと到着した
のは 良いのだが
それと同時になぜか
草原に散っているはずの
一族が それも普段は
別の草原にいる遠い親戚まで集まって居て
その中には2人も一度だけ
会っただけの父親の妹の叔母さんの
姿もあって
こんな風に親戚一同が
集うなんて 葬式でもあり得ないのに
その 迎えの行列の人数の多さに
呆気に取られて居ると
王族の正装に身を包んだ
義勇と杏寿郎が家来達の後ろから
前に出て来て
「すまないな!小野寺
これだけの人数で押し寄せてしまって、
驚かせてしまっただろうか?」
「勝手な事をしたのは、承知している。
こちらでそちらの親戚筋を
事細かに調べさせてもらった、
恨み言なら、コイツに言ってくれ。
俺はコイツの思い付きに
付き合わされただけだ」
「酷い言われようだな、冨岡。
俺は、それぞれに都合もあるだろうし、
王都まで婚礼の儀への参加が
出来ない者も居るだろうから、
ここで仮の祝宴を
しようと提案しただけだろう?」
そう話をしている後ろで
ドンドンと宴席の用意が進んでいて
その場に簡易的な釜を用意して
草原では農耕はしないので
食べる機会がほとんどない
野菜や穀物 それにカラフルな果物が
次々に調理されて行く
「約束通り、王族の御用達の
ブドウ酒も数種類用意して来ている」
「この間の、自家製のアルヒの礼だ。
十分に量は用意して来てる、ドンドン
飲んで、食べて、語らって行ってくれ」
数十人掛りで
草原の草の上に絨毯を幾重にも
敷き詰めて 周囲を布で囲った
宴席の会場が出来あがる
そうしてる間にも
簡易的な野外の台所が完成していて
数十人の料理人が
カラフルなフルーツを
器用に飾り切りにして盛り付けて行く
「どうだろうか?お父上。
そちらの親戚の方々はお揃いだろうか?
お揃いであるなら、酒を配らせよう。
折角の祝い事だ、
一緒に樽開きをお願いしたいが?」
ツンツンと一樹が父を肘で突いて
「ご指名されてるけど?父さん」
「そうそう、それしないと
お酒飲めないじゃん」
「分かったよ、行けばいいんだろう」
「冨岡もだからな?逃げるな」
こそっと隠れようとしていた
義勇にそう杏寿郎が声を掛ける
「俺は、人前は苦手だ…」
「だが、お前がせねば意味があるまい?」