第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
つまりは…あの2人も…
その為の夫婦の営みと言うのを…
翔が羊の見回りを終えて
ゲルに戻ると床に這いつくばった
悠斗がぶつぶつと何かを呟いていて
「帰ったぞォ、オイ、悠斗
お前、んな所で何してんだよ?」
「かっ、翔兄っ!僕…考えても
無かったんだよぉ~、夫婦になるって
事はだよ?翔兄、子供っ作るって事でしょ?」
「あ?そらそうだろ。俺達は
遊牧民なんだぞ?家族が多いに
越したこったぁねぇよ」
ガシッと悠斗が翔の襟を掴んで
ユサユサと前後に大きく揺すった
「違うよ!みくりと小野寺の事っ」
「悠斗」
そう静かに翔が悠斗を呼んで
「お前、馬鹿だろ」
「なっ、酷くないッ??
そんな言い方しなくてもいいんじゃない?」
必死に訴え掛けて来る悠斗を
翔が引き剥がすと ボリボリと
自分の後頭部を掻いた
「んな事、どっか他所のゲルに
嫁に行ったとしたって同じ事だろーが!
それが例え草原の遊牧民であろうと。
王家の一族であろうと、求められるのは
元気な子供を授かる事だ、それも
男の子供をな!家を大きくするには
男が居るんだよ。それはどこも同じだろーがっ」
「あのさぁ…それ、翔兄が言うの?」
そうむっとしながら悠斗が言って
その言葉に翔が表情を曇らせた
「俺の所為…でもあるよな、悠斗
アイツ等が…家を出るからなんだろ?
お前が、急いで結婚を決めて来たのも…全部。
俺の為でもあるし、家の為でもあるんだろ?」
「……それも…、あるけど」
見た目は 若く見えるが
当然 星詠みのオババ様とは
翔が夫婦となって子供を望めない
そんな事は 翔兄本人が
誰よりも 一番知っている事で
僕や 一樹兄 それに父さんだって
翔兄の好きにさせてやりたいって
話し合って決めた事だった
現に翔兄には年頃になる頃には
親戚筋から複数の嫁入り話が
舞い込んで来て居たのは確かだったが
翔がそれを全て 蹴ってしまったから
「俺の所為で、親父や兄貴には
迷惑かけたのは、知ってっし…よ。
悠斗、お前にまで変な気…使わせちまって」
「だから、じゃないの?
うちで世帯を持って、
家族を増やして家を大きく出来ないけど
こうして、家に翔兄が残ってるのは。
その為だって、思ってたんだけど…。
だから、今回の事も協力してくれたんだて
そう思ってるけど?違う?」