第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
その夜は皆と過ごしたくて
いつもよりも夜更かしをしていて
そのまま そこで二人で
お互いの身体にもたれ掛って
いつの間にか眠ってしまって居た
まだ 半分起きていたから
父様達の会話が聞こえていて
ふんわりと温かい毛布を掛けられて
「寂しく、なっちゃいますね」
菜々緒姉さんの声が聞こえた
「そうだなぁ、だがこれも
娘が生まれた時点で決まってる運命だから
仕方ねぇよぉ」
そう言いながら
自分の碗のアルヒを一気に煽って
そのまま ふたりが眠っている
傍らにゴロンと横になった
「父さんも、本当に
素直じゃないんだからな」
呆れた様にしてその様子を見ながら
一樹が漏らす様にして言うと
「まぁ、寂しかねぇ訳じゃねぇけど…」
そうつまらなさそうに翔が言った
「あー、あー、
ふたりとも、そんなしんみりしないの。
明日はちゃんと、笑顔で見送りしないとね」
悠斗がしんみりしてしまっている
2人の兄にそう言うと
「んだよ、お前が一番、歳も近いし。
コイツ等可愛がってただろうがーよ!」
悠斗が落ち着いていられるのが
気に入らないと言いたげに
翔が突っかかって行って
「だからだよ、だから…
みくりと小野寺には、
この草原で一番の幸せな
花嫁になって欲しいって、僕は思ってるけど?
翔兄は違うの?ずっとここに置いとけばいいって
そうも行かないでしょ?1年、1年過ぎる頬、
貰い手の条件だって悪くなるんだ」
そう言って悠斗がその顔を曇らせる
「俺達や、父さんが出し惜しみしたから
到底、首を縦に振れる様なそんな
縁談の話がなくなっちまってたのは、
お前の言う通りだが…よォ」
「…だが、それが結果的に
俺達にとっては2人と
過ごせる掛けがえのない
時間の猶予を3年も与えてくれたし、
最高の縁談話まで運んでくれたんだ。
俺はそれも、天の思し召しだと
そう感謝してる…まぁ、悠斗の
言う通り、複雑ではあるけどもなぁ」
そう言って 一樹が
自分の碗の中のアルヒを
翔と悠斗の方に向かて掲げて来て
一樹に続く様にして
翔と悠斗も自分の碗を掲げて
チンッとお互いの碗で乾杯をすると
グイっと一気にその中のアルヒを飲み干した
スッと翔が立ち上がると
「俺はちぃとばっか、羊の
見回りでも、夜風に当たってしてくらァ」