第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
※羊の解体の話があるので
グロテスク耐性のない方はご注意を
夕方になる前に悠斗が戻って来て
結婚の申し入れは受けて貰えたと聞いた
その夜は 私達の結婚と
悠斗兄様の結婚をお祝いして
普段だったら羊を食べない時期だけど
父様がお祝いだからと羊を捌いてくれた
羊の解体はある年齢になったら
遊牧民の男の子の通過儀礼だ
初めてのナイフを父親から贈られて
その命を頂く事の大切さ教えられる
胸に入れた切り込みから
自分の手を挿し入れて
苦しませずに一瞬で絶命させる
剥いだ 皮上で解体していく
やっぱり 羊を捌くのは
お父様が一番 手際が良くて上手だ
あっという間に裁かれて
血と内臓と肉に分けられて行く
草原の大地に血の一滴も垂らしてはならない
命を頂くのだから
その命の 例え1滴でも
無駄にしてはならない
それが家畜と共に生きる
遊牧民の教えだ
小野寺の身体の影から
悟と卓がその様子を見ていて
怖い物見たさの様にチラっと
覗き見ては 小野寺の影に隠れる
その様子を翔が見て
ふんと鼻で笑うと
「何だァ?お前等ぁ。それでも
男かァ?羊1匹捌けねぇで。
ここじゃ男とは、言えねぇぞ?」
そう凄みながら翔が言って
2人がビクッと肩を震わせた
「止めろ、翔。2人が怖がってる。
安心していいぞ?こんなおっかない
翔だって、最初はビビッて捌けなかったから」
そう一樹が翔を指さしながら
そう言うと
「それ。本当なのかよ?」
「翔にいにも、怖いかったの?」
幼い弟が自分達と同じだったのかと
翔にそれを確認して来て
ばつが悪そうにしながら
翔がぼりぼりと自分の後頭部を掻きながら
「だぁっ、ああ、悪かったな!
怖かったんだよぉ!悪いか?」
「でも、今は、翔兄も
上手に羊…捌けるからね?
だから、悟も卓も上手になるよ。
僕が、上手な捌き方教えてあげるからね」
そう自分のナイフを腰から外して
クルクルと指に掛けて回すと
その刃の部分にカバーの上からキスをして
悟と卓に向けて悠斗がウインクをする
「ああ。悠斗はなぁ、ニコニコ笑いながら
捌くから、俺は逆に怖いんだけどな」
「ちょ、一樹兄酷くない?
それだけ聞いたら僕が変な奴
みたいじゃない?誤解招くでしょ?」
一樹の言葉に悠斗が
誤解があると不満を漏らした