第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
「そう、これは…
萌香が15になってお嫁さんに
行く時に着る、花嫁衣裳。
本当は、母親が下準備をするのが
習わしだけど…ね。
ごめんね、萌香。お姉ちゃんで」
ぎゅっと萌香がみくりの
手を握って来て
ブンブンと首を大きく左右に振った
「そんな事、そんな事ないよっ!
…ありが…、とう、みくりお姉ちゃん」
「萌香。お礼なら、小野寺にも
萌香から言ってあげてくれる?
ここの刺繍は小野寺がしたんだよ」
萌香がみくりの言葉に
小野寺がしたと言う刺繍に目を向ける
先程小野寺が施した刺繍は見たけど
小野寺の婚礼衣装の刺繍よりも
萌香の衣装の刺繍の方が
その何倍にも丁寧に刺繍が施されていて
「小野寺お姉ちゃん、…刺繍、
苦手…だって、下手くそだからって…
言ってた、のにぃ…どうして…」
「確かに、私は小野寺とは
双子だから、分かるけど。この刺繍には
小野寺の、萌香に幸せな花嫁さんに
なって欲しいって、願いが込もってるんだよ」
その言葉を聞いた
まだ幼い妹はわんわんと
大声を上げて泣き出してしまって
その様子を心配そうに
一番下の弟の卓が伺いに来て
大泣きをしている萌香の頭をよしよしと
小さな手が撫でた
「萌お姉ちゃん、悲しいの?」
「ううっ、ぐすっ、卓…」
ギュウウっと萌香が卓の小さな
身体を抱きしめて
「萌お姉ちゃん?」
「お姉ちゃん達が居なくなっても、
萌香が卓の事、面倒みるからね。
お姉ちゃん達が、萌香に教えてくれた事。
ちゃんと、卓に教えるからっ…」
行かないでって言いたいのだろうのを
唇を嚙みしめて堪えて我慢して
二人が気掛かりにしてるであろう
幼い弟の事を任せて欲しいと
そう萌香が言って来て
自分達の妹も 知らず内にここまで
成長したのだと実感する
「ホラ、悟も、隠れてないで」
間仕切りにしている布の影に
隠れている悟に小野寺が声を掛けると
みくりと小野寺が手を繋いで
空いている手を3人に対して広げると
その2人の腕の中に
悟と萌香と卓が収まる様に入って来て
みくりと小野寺がその
幼い弟と妹を包み込むようにして抱きしめる
「例え、離れていても、いつだって
お姉ちゃん達は皆の事を、想ってるから」