第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
「君達の弟も妹も、
頼もしい限りだな!」
腕組みをしながら杏寿郎がそう言って
「当然だぃ。俺は…遊牧民だからな!」
そう自分の鼻の下を得意そうに
指で擦りながら悟が言って来て
杏寿郎の大きな手がその頭を撫でた
「まだ、小さいのに感心だな…」
義勇が自分の周りを
ちょこまかとしていた
卓にそう声を掛けた
「お姉ちゃん達、
いなくなっちゃうの?」
そう言って自分の服をギュッと
卓が握りしめながら俯いた
まだ幼いこの子にも
自分の姉が家から居なくなるのは
何となくにだが感じ取っている様だった
「会おうと思えば会えるが、
今までの様には…な」
「君達は、俺達の妻の家族だろう?
いつでも王宮に遊びに
来てくれて構わないがな!」
そう言ってははははと
杏寿郎が笑った
「で、いいのか?」
「羊が多すぎる件についてか?
冨岡、どうだ?」
そう杏寿郎が義勇に意見を求めて来て
「俺には妊娠してる羊も、
そうでない羊も見分けがつかん」
その義勇の答えを聞いて
杏寿郎がニヤッと口元を曲げると
「だそうだぞ?一樹兄よ。
俺達には見分けもつかんからな。
俺らから見れば、羊は2000だ」
「まだ、兄と呼ばれるには気が、
早くあるんじゃないか?まぁ、いい。
その、心意気は受け取って置く」
ふぅっと一樹が息を漏らすと
ふっと今度は口の端を曲げた
「妹達を頼む」
そう あちら側で羊の選別をしている
二人には聞こえない様にして
一樹が杏寿郎と義勇に行って来て
「相分かった」
「承知した」
杏寿郎と義勇が返事を返した
「では、俺と冨岡は一旦王都へ戻る」
「また、3日後に改めて
迎えに来る。それまでに
支度を整えておけ…」
「君達も、家族水要らずの時間が
ある方がいいと思ってな!
その間に、こちらも婚礼の儀式もだが
彼女達を迎え入れる準備があるからな」
そう言い残して
二人は王都へ羊を届けに来た
従者と共に帰って行ってしまった
二人が帰ってしまえば
いつも通りの時間になるかと言うと
そうではない
双子が結婚をすると聞きつけた人達が
次々にお祝いに訪れるから
父親の隣に2人で並んで座って
ニコニコと笑いながら
お祝いに来た人に挨拶をする
「私からも、一針いいかしら?」
そうある女性が声を2人に掛けて来て
二人の顔が明るくなった