第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
「まぁ、だが…星詠みのオババ様が
ああ。言った以上。俺がお前等の
嫁入りを反対する理由がねぇ…」
胡坐を掻いたままでそう
父親が漏らす様に言って
「遅いぐらいなんだ、父さん。
娘を持つ父親の運めじゃないか」
そう幼い娘を持つ父として
気持ちがわかると言いたげに
ぽんと一樹が父親の肩を叩いた
「うるせぇ、まだお前は、10年
ぐれぇあるだろうがぁ!一樹ぃ~」
「ああ、もう。分かった分かったって
オイ、悠斗。酒、持って来てやんな。
飲んでねぇと無理そうだわ。これ」
そう一樹が父親を宥めようとするも
受け入れが難しいようで
一樹が悠斗に酒を持ってくる様に依頼した
「はいはぁーい。取って来ますよ~。
ああ、そうだ。お酒…ふたりは
飲める歳だよね?」
と言われて
「ああ、俺も冨岡も酒は飲める年齢だが…」
「お前っ、家の酒を出すつもりか?」
「当然でしょ?父さん。
もう家族になる相手なんだから。
家で飼ってる羊の乳から作った
アルヒなんだけどね?それぞれの家で
作ってるけど、うちの羊はいいから
他所の家よりも、美味しいからさ」
そう言って悠斗が下がって行くと
「みくりと、小野寺は
何か酒のつまみでも用意してくれ」
一樹がそうふたりに対して言って来て
ふたりの顔がぱぁっと明るくなる
「うん、用意して来る」
「少々、お待ちを…」
そう言っていそいそと台所の方へ
行くと一樹の妻である菜々緒が
器に馬乳酒の用意を始めていて
「さっき、悠斗君がお酒
取りに来てたけど。チビちゃん
達と貴方たちは馬乳酒でいいわよね?」
「うん。私、それ運ぶね」
「いいえ、これは私が
運ぶから。私だってまだ2人の
旦那さんの顔、まだちゃんと見てないもの」
「ねぇ、あのチーズと羊のハム
お出ししていいかしら?」
「ええ。勿論よ。皆で夏に
作ったチーズだもんね」
しばらくすると お椀の様な器に
注がれたアルヒと呼ばれる
家畜の乳を蒸留して作った酒を出された
「前に世話になったゲルで
出された、物と違うようにあるが?」
「白い酸味のある飲み物だったが…」
そう二人が自分の前に出された酒が
前に世話になったゲルで出された物と
違うと首を傾げて居ると
「それは、馬乳酒にありませんか?」
そう言って菜々緒が
子供達に白い液体の器を配る