第42章 スルタンコラボ企画 上編 お相手:冨岡義勇
じっとその女が
このゲルの主である父親の顔を見ると
「ちょっと数年見ない内に、
随分とおっさんになったもんだねぇ。
アンタも。前に会ったのは、
あの双子の星が生まれた時だったかい?」
右手の人差し指を女が立てて
左右に振ると
女がその指先をみくり小野寺の
方へと向けて来て
クルっと振り返ると
すぐ二人の前まで来て
じぃーーーっと値踏みをするかのように
下から二人の顔を見上げた
「やっぱりね。輝きが増してる。
あの時のこのふたりの持ってる星なんて
六等星もいい所だったのに。
こんなに輝かしい星に育っちまってる。
文字通りの、一等星だよ。圭司
…ーーーで、だ。時に
アンタ達も…、特別な星を持ってるじゃないか」
ふふふふと妖艶な笑みを浮かべながら
その女が杏寿郎と義勇の方へと
コツコツと靴を鳴らしながら
歩み寄って来て
ふわりっとその女から漂って来た香り
「ん?匂うな…」
そう義勇が言ってその端正な顔を歪ませた
「こら、冨岡っ!幾らそれが
事実であっても、女性に失礼に
当たるだろうが!シップ臭いなどとは
口が裂けても…あっ!」
「あはははは、言っちゃったぁ~」
その女から漂うシップの匂いが
気になってしまって思わず口に
出してしまった
ふぅと女がため息をつくと
「まぁ、そっちの
月の加護を受けたわっぱと、
こっちの太陽の加護を受けたわっぱ」
女が義勇を指さして
それから杏寿郎を指さした
「どなたか存じ上げないが、
俺達は成人してるし、わっぱ
扱いされるような年齢ではないのだが?」
子供扱いされた事に気を悪くしたのか
杏寿郎が不満を露わにして言うと
くくくくっと女が喉を鳴らして笑った
「なら、小僧だなぁ。アタシから
すりゃぁみんなケツの青いガキも同然」
「だからぁ、だったら、オバンは
オバンらしい恰好しろつってんだろがよ!」
イライラした様子で翔が不満を述べると
「100を超えた、老体なんぞ
見てもクルもんもあるまい?翔。
おお、話がそれておったのう。
そうじゃった、そうじゃった。
圭司、この星の巡りなら案ずる事も無かろう。
二人の娘の星が、ここまで育ったんじゃ。
それも、運めにあろうな。だが…これは
珍しい。出来損ないの二つ星が一等星に
育つのは、初めての事…じゃからな」