第38章 ピックアップお礼 愛の棘 お相手:煉獄杏寿郎
そのまま 舌が手の平を
くすぐる様にして這って
指と指の間にヌルヌルと差し込まれて
指の股の部分を舐められると
二ッと不敵な笑みを浮かべながら
杏寿郎がこちらに対して
答えを急かして来る
「俺としては、そうして貰えると
助かるのだが?どうだ?みくり」
「わ、私で…、お役に立てるので
ありましたのなら…。どうぞ……
私を…、杏寿郎さんのお気に召す様に」
「俺の気に召すように…、
好きにして良いと。うむ。
それは感心ではあるが…、今の俺に
それを許すと…、少々手荒くなって
しまうかも知れんが……?それでも
同じ事を…言えるか?みくり」
口調はいつも通りだが
その言葉の奥に
熱い…欲望の色を濃く感じる
彼に抱かれた事がない訳じゃない
何度もそうなってるんだ
だけど…彼がそう指摘して来てる通りに
今の彼にそれを許可するのは
危険……なのかも 知れない
でも……
「でも……、そのお体に籠っておいでで
あられます熱は……。その身に
納めおく事も、困難にございましょう?
お辛い…のであれば、お手伝いを……」
「鬼が…」
杏寿郎がそう漏らすように言って
「目の前で…、亡くなった
隊士の亡骸を…、蹂躙したんだ…。
その命を奪うだけでは…飽き足らずに」
そう一旦言葉を区切ると
「現場へと向かう……、道すがらに
彼から話を聞いた。もうすぐ……
子供が生まれるんだと、そう話していた…。
せめて、その亡骸を…そのまま
家族の元へ…返してやりたかったのに」
きっと 彼の心を支配してるのは
自責の…念だ
炎柱…でありながら
目の前で仲間を死なせてしまった事への
そして その亡骸を守れなかった事への
それをした 鬼への憤りと
自分への激しい自責の念
そんな 感情が 彼の中で渦巻いている
私には何が出来るだろうか?
命を常に危険に晒して
その命だけじゃなくて
その心も……常に 張りつめた様な
”極限”の中で生きる彼に
私が して差し上げられる事があるのなら……
ギュッと座っている杏寿郎の身体を
みくりが膝立ちになって抱きしめる
彼の顔を自分の胸に埋めさせて
その顔に自分の顔を近付ける
「私にそうするのが、
心苦しいのであられるのなら。
今の私はみくりではありませんよ?」