第38章 ピックアップお礼 愛の棘 お相手:煉獄杏寿郎
みくりがよしよしと
子供を抱く母親の様に
杏寿郎を抱きしめながら
自分の手で杏寿郎の右手を
手繰り寄せるとそのタコの出来た手に
愛おしむかのようにして口付けて行く
「私を…、慰み者にして…
下さいまし?杏寿郎さん」
自分を慰み者にしても良いと
そう 俺に言うのか…君は…
「大凡、抱くと言う物とは…
程遠い物になったとしても。君は。
それも、覚悟の上と…
君は言いたいのだな?」
「どうぞ。杏寿郎さんの
お好きに、お心の許すままに…
私を、お使いになって下さい」
ドサッ と身体を
布団の上に倒されて
赤い双眸が見下ろしていた
不思議と その目に宿る欲望の色が
恐ろしいと感じなくなったのは
私が その理由を知ったからだ
「いいのか?乱暴にしか出来ないし。
痛みしか伴わないかも知れんぞ?」
杏寿郎のその言葉を聞いて
くすくすとみくりが口元を
押さえながら笑いだしてしまって
「構いませんよ?杏寿郎さん。
私は…、その痛みも愛せますから。
だって…その痛みは、杏寿郎さんの
心の痛みにあられましょう?なら…
愛せないはずがありませんもの…ね?」
下からみくりが杏寿郎の頬に
手を伸ばして来て そっと
頬に自分の手を添えると
「貴方様の痛みを…、どうか
私に下さい。杏寿郎さん」
そう言って自分から
杏寿郎の唇に自分の唇を重ねた
その言葉のひとつひとつから
行動のひとつひとつから
こうして触れる
指先から 唇から
彼女の愛が…伝わって来る様だ
そうか…俺は こんなにも
愛されていて
俺は こんなにも
許されてる…のだな……
すっと彼女の手が俺の帯に触れて
スルスルとそれを解かれて行く
開いた寝巻の間から
ひんやりとした彼女の手が
俺の身体を撫でつけて来て
胸板から腹へと そして
腰を下って
まだ 硬く…なり切っていない
その部分に褌の上から触れて来て
「そこまで、してもらわずとも
自分で出来る…が?」
そう困った様な顔をして
杏寿郎が言って来て
「杏寿郎さんは、
お疲れにあられますでしょう?
準備…は、私が致します…ので」
お座り……頂いても?と
促されてしまって
そう指示されるままに
布団の上に胡坐をかいて座った