第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
「ちょっと。勝手に人の妹を
許可なく口説くのは止めて貰えない?」
そう杏寿郎に悠斗が不満そうに言った
その間も3人の馬は速度を緩める事はなく
草原を駆け抜けて行く
「それは違うな」
「違わないでしょ?」
「それに、許可なら
彼女から既に得ているが?
俺が彼女に名を尋ねて、
彼女がそれに応じた」
そう言って杏寿郎がフッと笑みを浮かべる
夜の闇の中なのに
太陽みたいに眩しい笑顔の人だな
「万葉集だが?籠もよ み籠持ち 、
ふくしもよ みふくし持ち…この岡に
菜摘ます子 家告らせ 名告らさね…。
君は岡で菜は摘んでは居ないが、
この草原で、弓を引く君に俺が
心惹かれたまで…。相手に名乗る様に
求めて、それに応じれば…、
証人も居るんだ。俺の求婚は成立していると
受け取っていいと思うが」
「そんな事だろうと思ったよ!!
随分と、今のこの時代に時代錯誤な
古典的な事をする…んだね。王子様は」
そう言った後も悠斗が不満を
たらたらと漏らしていた
「あの…、あれって、そう言う意味…
だったんですか…?私、ただ
名前を聞かれてるだけだと思って…。
そんな意味だとは知らずに…」
そう申し訳なさそうに
小野寺が杏寿郎のに告げると
それに面食らったように
一瞬大きく目を見張るが
すぐに杏寿郎はニコニコとした笑顔になって
「では、改めて伝えよう。
小野寺。俺は、先ほどの君の弓の
素晴らしさ、そして今の馬捌きに
すっかり心を奪われてしまった様だ。
君を俺の妻として、娶りたい。
小野寺、どうだろうか?
俺と共に、この国の未来を…
俺の隣で、見届けてはくれまいだろうか?」
この金色に目には嘘が見える
嘘をついてる人には
黒と緑が混じった煙みたいなのが
その人の周りに現れるから
じっと小野寺が杏寿郎の事を
目を凝らして見つめるも
欠片程にも嘘の気配も見えなくて
それどころか キラキラと光り輝く
天からの祝福が
絶えず降り注いでいるのが見える
天からの祝福は
神様に愛されてる人にしか降らない
他人を偽ったり貶めたりする人には
祝福は与えられない
「俺は、君の目を悪用しないと、
天に、いや…。君に誓ってもいい」
その言葉で 全て分かってしまった
この人は この目の秘密を知ってる人なんだって