第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
「そんな事、
貴方に何が分かるって言うのよ!」
ジッとその太陽がこちらを見ていて
その声と目を見ていると
不思議な事に本当にみくりが
大丈夫なような そんな気がして来て
「確かに、君の言う通り。
俺には何も分からん。だが、大丈夫だ!」
何なんだろう この人の
根拠のない自信はどこから来るんだろ?
でも 不思議だ
大丈夫だとこの人が言うと
大丈夫に思えて来る
「それに、君ともう一人は
繋がっているんだろう?
目には見えない物で違うか?」
さっきまでとは違う
穏やかな口調でそう言って来て
気が付いた事がある
そうだ 私とみくりは双子なんだ
今 もし みくりに何かあれば
離れていても分かるはず
この人には それが…分かるの?
その人のその言葉で
それまで胸を占めていた焦燥感が消えた
「急いては事を仕損じると言うからな。
火急の時ほど、冷静さが必要だ。
そうだろう?」
そう言って杏寿郎がニッと笑みを浮かべた
そうだ 冷静になって気が付いた
この人の馬捌き…すごく綺麗だ
馬も…凄くいい馬だ
アレ?この馬…見た事ある
「あの…、貴方の馬…もしかして
韋駄天の…子供?その額の星…見た事ある」
「不知火は、韋駄天の血統だが…。
何故君はそれを…知っている?」
「韋駄天は、父さんの馬…。
今、私が乗ってる
この馬も…韋駄天の子供だから」
「そうか、この馬とはもう6年ほどの
付き合いになるが、そうか…。
俺はその時、冨岡と、それから父上と
馬の買い付けに来たが、その時に
君と出会っていたかも知れんな」
杏寿郎が小野寺にそう問いかけて来て
「それはないかな。だって、
父さんも兄さん達も過保護だから
他所から男の人が来たら、隠されちゃう」
ははははははと目の前の杏寿郎が
大笑いをし始めたので
小野寺は面食らってしまった
「確かに、その穏やかな青年も
別人の様になってたからな。
で、そろそろ俺に、君の名を聞かせては
くれないだろうか?金色の瞳の人」
何度も何度も
答えるまでしつこく聞かれそうだし
そう思って
「名前?名前は…小野寺だけど」
悠斗がその真意に気付いて
小野寺を止める前に
名を名乗ってしまっていて
それを聞いて 杏寿郎が
満足そうに微笑んだ