第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
父さんと兄さん達は
あのふたりと話をするからと
お前たちは休みなさいと言われて
小野寺は狩りの時の服装から
寝巻に着替えて髪を降ろすと
ざっくりとしたみつあみを編んだ
ふたりで一つのベットに潜り込んで
布団を被ると
お互いの手を合わせる
そうすると 真っ暗なのに
お互いの金色の目が闇の中で
キラキラと輝くのだ
小さい頃から夜にこっそり
布団の中でしていたふたりだけの遊び
ひとりでは こんな風に
光ったりはしない
2人でこんな風に手を合わせると
目が光るのだ
「ねぇ。みくり。目を
使ったでしょう?目から突然血が出たの。
きっとそれは、みくりが目の力を
使ったからだと思ったんだけど」
じぃっと小野寺が心配そうに
みくりの目を覗き込んで来て
「うん。ごめんね。小野寺、
母様には、ひとりでは使っちゃダメって
言われてたのにね。小野寺は?
目から血が出たって、大丈夫なの?」
「その時は痛かったけど、
今はもう、何ともないみたい。
ねぇ。やっぱり予感、当たってたね?」
そう言って ふふふと
小野寺が口元を押さえながら
笑っていた
「うん。出会いの予感…当たってた。
やっぱり、あの人と結婚するのかな?」
「でも、ひとりに羊1000匹なんて
そんなの、破格過ぎるよ?多くても
500匹なのに倍なんて…。
それに私達はもう、結婚できる
年齢になってから3年も過ぎてるから…」
本来なら 遊牧民の嫁は
沢山子供を産むのが仕事
初潮を迎えれば
すぐにでも嫁入りと言う場合だってある
平均的な年齢である15歳をもう
3年も過ぎてるのだ
本来なら
羊1000匹の価値なんてないのに
「でも、すぐ下の妹はまだ10歳なのに。
8歳の時には相手が決まってたじゃないのっ。
それに、その下の妹の相手も候補は
決まってるって、父様がっ…」
「ちょっと、みくり。
声を、押さえて。父さん達に寝てないって
バレちゃうじゃないの。父さんは
私達が、普通の子じゃないから
嫁入り先は入念にって言ってたじゃないの」
つい興奮して大きな声を出してしまった
みくりを小野寺が窘めた
「ねぇ、小野寺は?
小野寺は感じてる?
自分に無い物、片割れなんだって」