第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
そう問いかけて来るみくりの
その髪を小野寺が撫でて
「うん、みくりの言いたい事は
ちゃんと分かってる。私たちは
双子だもの。冨岡さんの事でしょ?
男性は太陽、女性は月、
本来なら、女性は陰の気。でも
みくりが生まれつき、男性
以上に強い、陽の気の持ち主なのは。
星詠みのオババが言ってたじゃない」
「小野寺。だから、その片割れの
小野寺は、普通の女の人よりも
沢山の陰の気があるって。この子達は
一緒に置いて置かないといけないって」
じっとみくりの顔を見つめて来る
その視線を見てると 母様を思い出す
同じ顔だけど 小野寺はお姉ちゃんで
しっかり者だから 母様に見えちゃうのかな?
「だから、みくり。父さんは
ずっと、私達二人を揃って貰ってくれる。
嫁ぎ先を探してたから、こうなってるんだって
ちゃんと、父さんの事、分かってあげないと」
そう諭されてしまって
むぅっとみくりが口を尖らせた
「あ、そうだ。そう言えば…。
小野寺は、煉獄様…て
太陽みたいな人の方と一緒だったでしょ?
どうして、一緒に??」
みくりにどうして煉獄さんと
一緒に家に戻って来たのかと
そう問いかけられてしまって
煉獄さんと出会った時の事を思い出す
「私、見えたの。この目を通して
みくりが危ないって、
みくりが死んじゃうってそう
思ったら。もう止まらなくて。
父さんが止めるのを無視して、
家に急いで戻らなくちゃって」
その時の事を小野寺が
思い出しながら話し始めた
そう あの時…
私は狼の群れの長に遭遇したんだ
咄嗟に矢を射かけたが
急所は外れてそのまま
長の狼は走って行ってしまった
そっちは 家の方向
このまま 向かわせる訳には行かない
ボタボタと右目からはとめどなく
血がしたたり落ちていたが
それに構ってる時間はない
視界を血が塞ぐ 右目を閉じて
左目に意識を集中させる
スゥウウウッと呼吸を吸い込んで
肺を膨らませると
自分の身体に酸素が行き届いて行って
冴え冴えとして来る
全速力で馬は草原を掛けて行く
その先を行く大きな狼を追って
闇に包まれて走るのに恐怖もない
ゆっくりと 矢を一本
手にしてつがえる