第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
スッとみくりが
義勇の瞳を指さして
「でも、こうして貴方様の
夜の帳の様な瞳に、
私の金の瞳を映せば…
夜空に輝く月の様にありますね」
良く分からない事ばかりを
ベラベラと喋る娘だ
「冨岡様は、
王子様にあられますか?」
どうして それを知っている?
俺の存在は…忌み嫌われて
王宮の外部では知る者はおらず
内部でも
ごく限られた一部しか知らぬのに
「俺は…、王子などではない」
「嘘はなりません、その気は王家の
方が纏われる物にあります。
私の目は誤魔化せませんよ?冨岡様」
「その目には、俺が…
王家の人間に見えるのか?」
「冨岡様、危ないっ」
みくりが義勇に飛びかかって来て
そのまま 地面にその勢いで倒れ込む
先程まで 義勇が居た場所に
弓が 数本纏まって刺さっており
ブワッと背後から
殺気が迫っているのを感じた
『お前、どうしてここに居る?
みくりに何をするつもりだった?』
「誰だ?お前は…」
「一樹兄様、違うの…
この方は、私を助けてくれただけ
怪しい人じゃないから、止めて」
そう言ってその男から
義勇を庇う様にして
みくりが前に出る
「みくり。そこを退け。
邪魔をするな、俺はよそ者を
排除するだけだ、邪魔するなら
お前ごと、斬る…事になるが」
「一樹兄様、違うって言ってるの」
スッと義勇がみくりの前に
自分の手を出して
みくりの身体の前に出た
この男のこの殺気
言葉通りに妹もろとも
俺を斬る様なそんな勢いだ
「俺の名は冨岡義勇だ。
ここには、スルタンの命を受け
金色の瞳の娘を探しに来た」
一樹が義勇の言葉を聞いて
青筋を立てて身体を震わせた
ビリビリと空気が震える
この男… 相当の手練れだな
こっちも本気を出さないと
殺される…な
不本意ではあるが…抜くしかないのか
ストンと一樹が馬から降りて来て
自分の腰の剣の柄に手を掛けた
義勇もそれに応じる様にして
自分の腰の剣に手を伸ばした時
『止めろ!一樹。剣を納めろ』
『冨岡、無事か?』
この声は…と 声の方を見ると
「父様。それに、小野寺!」
みくりがその父親らしき男の後ろに居た
同じ顔をした娘の方へ走って行って
そのまま勢いよく飛びついた